以前「電気機械」の具体例として、モーターや発電機を例に挙げました。これらの装置の基本原理には「電磁誘導」という現象が関わっています。電磁誘導とは、磁場の変化によって電流が生じる現象ですが、その前提として、そもそも電流が磁場を生み出すことを理解する必要があります。
そこで今回は、電流が生じさせる磁場、さらにその磁場が電流に与える影響について説明します。
電気の周りには磁場が発生する
例えば家庭用ライトのプラグをコンセントに差し込むと、コード内には電圧がかかり、電場が発生します。そしてスイッチを入れると電流が流れ、その周囲に磁場が生じます。
磁場の向きを知るには 右ねじの法則 を用い、直線電流の場合には電流の向きに親指を向けると、他の四本の指が示す方向に磁場が発生 します。

✔ 電流が流れる ⇒ その周囲に円を描くように磁場が生じる
電流は磁場から力を受ける
電流が流れると、その周囲に磁場が発生することが分かりました。では磁場が、電荷や他の電流に影響を与えることはあるでしょうか。
実は、特定の条件下では電流が磁場から力を受けることが知られています。この力をローレンツ力といいます。
具体的にローレンツ力が発生するのは次のような場合です。
- 磁場内を電流が直交して流れる場合
- 磁場が時間的・空間的に変化している場合
具体的には、例えば左にN極、右にS極の磁石を置き、その間に上下方向に電流が流れる場合、この電流には前後方向の力が働きます。
こうした相互作用が、モータや発電機原理の基礎になります。
✔ 電流が流れる導体が磁場の中にあると、特定の条件下でローレンツ力を受ける。
ローレンツ力の向きと大きさ
例えば、以下のような状況ではローレンツ力が発生します。

ここでローレンツ力の向きは、フレミングの左手の法則で決定できます。
- 親指 ⇒ローレンツ力の向き
- 人差し指 ⇒磁場の向き
- 中指 ⇒電流の向き
これらが直交している場合に、電流は磁場から力を受けます。

さきほどの例にこの法則を当てはめると以下の通りです。
- 中指 ⇒導体棒に流れる電流(赤矢印)
- 人差し指 ⇒N極からS極への磁力線の向き(紫)
- 親指 ⇒ローレンツ力(導体が受ける力)
コレで向きが分かりました。
そしてこの導体を流れる電流が受ける力の大きさは、以下の式で求められます。
ローレンツ力の大きさ F=BIl
I:電流(A)
l:電線の長さ(m)
B:磁束密度(T)
✔ ローレンツ力の向きは、フレミングの左手の法則で決定される。
まとめ
・電流が流れると、その周囲に磁場が生じる。
・電流が流れる導体が磁場の中にあると、特定の条件下でローレンツ力を受ける。
・ ローレンツ力の向きは、フレミングの左手の法則で決定される。
・この現象がモーターや発電機の基礎になっている。
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