露光装置の構造(整理メモ)

a close up of a computer circuit board 特許明細書

翻訳作業の中で整理した露光装置の構造についてまとめました。

露光装置の構造

露光装置は、大きく以下の要素で構成されます。

光学系精密駆動ステージ制御(位置決めなど)システム温度・真空管理(環境制御)システム

光学系を詳しく見ると、照明系投影系、そして環境チャンバで構成されます。

照明系は光源と光学部品、投影系は、投影レンズ、フォーカス調整機構、ステッパ/スキャナを含みます。ここで縮小投影によってマスクパターンを4:1や5:1に縮小し、ウエハに転写します。マスクなどのパターニングデバイスは、照明系と投影系の間に存在します。

パターニング構造

パターニング構造には、マスクを使用する場合(透過・反射)とマスクを用いないマスクレス(レーザー直接描画・PMA(programmable mirror array)等)があります。

※マスクレスをパターニング構造に含めるかどうかは、文脈によります(後述します)。

マスクを使用する方式には、透過型マスクと反射型マスクがあります。透過型マスクは、固定(例:バイナリ、位相シフト)、反射型は可変構造(例:PMA)があります。

固定構造であるバイナリマスク・位相シフトマスクには、基板に透過性の石英などが用いられます。

バイナリ(binary)マスクは、光の透過部分と遮光部が明確に分かれるシンプルな構造です。透明基板上の遮光部にはクロム(Cr)などの不透明な金属膜が使用されます。白黒のコントラストは強いですが、解像度の低さ・回折によるエッジのぼやけが課題です。

バイナリマスクの構造(出典:テクセンドフォトマスク

位相シフト(phase shift)マスクは、バイナリのように白か黒かでなく、位相をずらすことで、光の干渉によりコントラストを高め、シャープなパターンを形成します(例:交互位相シフトマスク(Alternating Phase-Shift Mask))。位相シフトに加えて光の強度をコントロールするのが減衰位相シフトマスク(Attenuated Phase-Shift Mask)です。ハーフトーンマスクはこの一種で、遮蔽部でも完全に光を遮断するのでなく、一部を磨りガラスのように透過させることができます。

位相シフトマスクの構造(出典:テクセンドフォトマスク

PMA(プログラム可能なミラーアレイ)は、多数の可動式微小ミラー(MEMS技術)を備え、各ミラーのON/OFを電子制御することで、入射光の反射の向きを調整します。ONの角度の場合に入射光がミラーに反射し露光パターンを形成し、OFFの角度の場合には露光をしない、という制御が可能です。

DMD(出典:Texas Instruments


今回、PMAをマスクを使用する方式として分類したものの(パターンを形成するデバイス、という意味で)、動的にパターンを変更できる・固定されたマスクがあるわけではない、という意味ではマスクレスにも分類できると理解しました。

DMDの構造(出典:Texas Instruments)

アパーチャ

アパーチャ(Aperture)とは、光が通過する開口部のことです。

照明系のアパーチャでは、可変アパーチャを用いることで光の通過量を調整し、均一な光を実現します。

パターニングでは、特に位相シフトマスク(透過型マスクの一種)で、光の入射角や広がりを制御し干渉効果を強めます。

投影系では、光学収差を補正したり、特に高NAのシステムで開口形状を調整します。

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