子どもの成長と微分の視点

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年末年始、「本質」をキーワードに本を数冊買い、読み進めています。
今回はその中の一冊『数学的思考ができる人に世界はこう見えている ガチ文系のための「読む数学」 』(齋藤孝・著)について記録します。

内容自体は、高校数学・物理で学ぶ基本法則が、物事を理解する視点として役立ちますよ、という話です。特に印象的だったのは「関数」と「微分」の章です。

「関数」の章

「関数」の章では、y=f(x)は、「一貫した変換作用」をもたらすブラックボックスだ、と説明がされています。

つまりxに何かを入力し、yを出力する、その変わらない「関係性」を数学的に示すのが関数だ、ということです。

「書籍内では、この「変換作用」をアーティストのスタイルを例に説明しています。

たとえばモネ・ゴッホといったアーティストは、インプット(x)を、その人らしい変換作用(f)で作品(y)としてアウトプットしています。この「強烈な変換作用」こそが偉大なアーティストのスタイルだ、というのは、非常にわかりやすい例だと感じました。

「微分」の章

また「微分」の章では、「世の中のあらゆることが変化している」という前提を認識し、今この瞬間の変化率(傾き)に注目することが微分の本質だ、と説明されています。

書籍内ではバブル崩壊前の株価を例に、これまでの変化がどうあれ、今「この瞬間の変化率」に目を向けること(微分的思考)が、その変化にどう対応するかを決める鍵になることが述べられています。

他にも、座標・確率・集合・証明・ベクトルといったテーマについて、それぞれの意味や活用例が平易な言葉で示されています。

馴染みのある方には馴染み深い内容かもしれませんが、頭の整理に役立つ一冊でした。

微分の視点で子どもの成長をみる

先日子どもの成長について考えさせられる出来事がありました。

近しい人から「入学当時からずっと変わってない」という指摘をいただきました。
子どものことを真剣に考えてくださり、できない点については以前から大切だとアドバイスをいただいていましたので納得する一方で、親としては、違う視点から子どもを支えたいとも思った、という話です。

確かに指摘された点については私自身気になることが多くあります。子どもも「言われたからやる」という素直さから離れつつある年頃であるため、課題だと感じています。

それでも、本人には「こうありたい」理想像はあるようで、現実とのギャップに葛藤し、時にその思いを持て余し周りに(私に)当たりつつも、その底に、成長したいという気持ちは伝わってきます。

全体的に見ると確かに、入学当時からほとんど成長がないように見えるだろうとも思います。

しかし、「その瞬間の変化率」に着目する微分の視点で日々観察しているとを意識すると見えるものがちがいます。

例えば、

  • 宿題を自分で始めたという「ちょっとがんばった瞬間」
  • 年下の子に言われたことにカッとしても「ぐっとこらえた瞬間」
  • 友だちとの喧嘩としてしまったときに自分から先に謝る「よりよい行動を考えた瞬間」

これらは、微分の視点でいう「この瞬間の勢い」を感じさせるものです。

親としては見逃したくないですし、見逃してはいけない所だと思います。

ただでさえギャングエイジに差し掛かり、言葉遣いも乱れプチ反抗が続くお年頃。
親としても、つい冷静さを欠いてしまう難しい場面も少なくありません。

ですがこうしたときに、親だからこそできることは、今「この瞬間の勢い」を捉え、その微分の視点で成長の瞬間を本人に伝える、そっと支えることだな、と改めて心に留めました。

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